蝋梅ロウバイの生殖戦略

生物進化の観点からは、生物種や集団内の遺伝的多様性は種の存続にとってきわめて重要なことです。従って、動物は近親婚や近親交配を避けようとしています。植物は花を通して繁殖するため、花が咲かせ、授粉し、実を結び、種子(子孫)を作りますが、動く事が出来ないため、自家受粉に加えて、昆虫や風を介すなど外力を利用して他家受粉を行い、遺伝的多様性を獲得します。例えば、虫媒花は昆虫や蜂によって、風媒花は風によって異なる株の花、同株の異なる花に送粉されます。植物と昆虫の共進化、生息している生態環境への適応進化により、個々の種はそれに応じて進化し、花の形態構造、生理機能、生殖様式が多様化してきました。今回は蝋梅の花を通して、植物の生殖様式の特殊化、多様化を紹介します。

ロウバイChimonanthus praecox 蝋梅(腊梅,蜡梅)は梅の仲間ではなく、ロウバイ科ロウバイ属の落葉植物です。中国原産で、江戸時代に日本に伝来しました。冬の12月から3月にかけて咲き、梅の咲く時期と重なっています。中国の旧暦12月は腊月と呼ばれることもるから、「腊梅」と呼ばれ、また、黄色い蜜蝋のような透明の花が咲くことから、「蜡(蝋)梅(Lamei)」とも名付けられました。

蝋梅の木。開花直前の蕾(中),果実(右),花の托が肥大,木質化,中に多数楕円形の種を生じる植物学的偽果と言います.

蝋梅の花は小さく、黄色、まるで蝋でできたような艶やかな質感があります。この独特の色合いは、寒い季節の中で一際目を引き、周囲の雪や枯れた景色の中で鮮やかに映えます。 花びらは柔らかく、少し丸みを帯びた形をしています。花の中心からは甘い香りが漂い、特に寒い日にはその香りが一層際立ち、訪れる人々を魅了します。

この香りは、昆虫を誘致する役割もあります。従って、蝋梅の花は虫媒花で1つの花に雄しべと雌しべも持つ両性花です。両性花の場合、昆虫が無作為に送粉するため自家受粉(自花の花粉を受粉)する可能性がありますが、蝋梅の花は雌性先熟の生理的隔離と花の構造が特殊化によって、自家受粉を避け、他家受粉を行うことを成し遂げます。

雄しべが展開して、雌しべ(柱頭)が露出しています。
雄シベが立ち上がり、雌しべを覆い隠しています。

上図に示すように、開花し始めた壺のような蕾に未熟の雄しべ(5本)が花被片に突き当たって花が開き、真ん中の雌しべ(柱頭)が露出して、外部からの花粉を授粉します。数日経つと、花冠が皿状に開き、熟成した雄しべが立ち上がって、雌しべの柱頭を覆い隠し、葯の外側から開裂して花粉を放出します。その花粉が昆虫によって他花に持って行かれ、他家受粉を行われ、自花の柱頭に受粉出来なくなります。 これは、近親交配を避けて遺伝的多様性を獲得する蝋梅の他家受粉の生殖様式です。

現在は蝋梅の開花期です。興味のある方は公園や登山道を散歩したりして蝋梅の香りや色、美しさを楽しみながら、花の構造を詳細に観察して見ると、生物の進化や自然の神秘についてより深く理解することができるのではないでしょうか。

「中国語訳」:从生物进化的角度来看,一个物种或种群内的遗传多样性对于一个物种的存续极为重要。 因此动物尽量避免近亲结婚和近亲繁殖。 植物通过花朵繁殖,因此它们开花、授粉、结果并产生种子(后代),但由于植物不能移动,除了自花传粉外,它们利用外力通过昆虫和风力进行异花授粉。 例如,虫媒花是由昆虫或蜜蜂,风媒花是由风给不同的植株或同一植物不同的花朵传播花粉。 由于植物与昆虫的共进化和对生态环境的适应,结果是各个种类获得了相应的进化,花的形态结构、生理机能和繁殖模式多样化。

蜡梅、腊梅,(Chimonanthus praecox不是梅、是蜡梅科蜡梅属的落叶植物。它原产于中国,在江户时代被引入日本。 蜡梅在冬季的 12 月至 3 月开花,中国农历第12 月被称为腊月,与梅花盛开的季节相重合,因此被命名为“腊梅”。又因其开出黄色透明像蜂蜡一样的花朵,也被称为 “蜡(蝋)梅 (Lamei)”。

 蜡梅花小,呈黄色至淡黄色调,质地有光泽,看起来就像是蜡做的。这种独特的质感在寒冷的季节中脱颖而出,在冬季的雪地和干燥萧瑟的景观中熠熠生辉。花瓣呈五瓣状,柔软,形状略圆。 花中甜美的香味飘出,令人心旷神怡。 这种气味在吸引昆虫方面也起着作用。 因此,蜡梅花是一种虫媒花,具有雄蕊和雌蕊的两性花。 在双性花的情况下,由于昆虫随机授粉,存在自花授粉(近亲交配)的可能性,但蜡梅花由于雌性先熟的生理隔离和花结构的特殊化,避免了自花授粉并实现了异花授粉的生殖体系。

如上图所示,在刚刚开始开花的壶状的花蕾上未成熟的雄蕊(5 个雄蕊)开展并推开花被,使中间的雌蕊(柱头)暴露在外面便于授粉。 几天后,花冠如盘状开展,成熟的雄蕊直立靠拢,覆盖了雌蕊的柱头,花药外侧裂开,释放出花粉。 花粉被昆虫带到其他花朵上进行异花授粉,而不能给自花的柱头授粉。 这是蜡梅获得遗传(基因)多样性的一种异花授粉的繁殖方式。

  现在正值蜡梅的开花季节,各位如有兴趣,在逛公园时,山道散步时除了观赏蜡梅的香,色,美之外,再仔细观察蜡梅花的结构,一定会对生物进化,自然的奥秘有更深的理解。