縁起の良い植物ーー万両

縁起の良い植物、千両、万両〜〜お金持ちにな〜る?  日本の伝統文化において、縁起の良い植物として「一両」「十両」「百両」「千両」「万両」をお正月に飾ることが知られています。

1. 一両は(蟻通し/アリドウシDamnacanthus indicus、アカネ科Rubiaceae、虎棘)常緑小低木です。葉腋に托葉から特殊化した1−2cm鋭い棘があります。葉の付け根から出ているトゲが蟻をも刺し通すという意味で、アリドオシという名を付けられました。冬に枝の先に小さい赤い実をつける植物で、縁起が良いとされています。
2. 十両はヤブコウジ(Ardisia japonica,サクラソウ科Primuraceae紫金牛)という常緑小低木です。7−8月花期に2−5個花の花序は葉腋に着き、10−12月に鮮やかな赤い核果(種1個)が葉の下にぶら下がります。赤い果実を山のミカンに見立てたヤマタチバナ(山橘)、ヤブコウジ(藪柑子)という和名がつけられたそうです。寄せ植えや盆栽にお正月の縁起物として利用されます。
3. 百両(カラタチバナ、Ardisia crispa,サクラソウ科Primuraceae百両金)は常緑小低木ですが、十両より丈が高く(20〜70cm)、さらに多数の実をつける植物です。江戸時代のタチバナは非常に高価で、百両以下では手に入れることができないため、「百両金」と呼ばれ、より多くの富や幸運を象徴しています。特に商売繁盛を願う際に用いられます。 
4. 千両(センリョウSarcandra glabra, センリョウ科、金粟兰): 千両は常緑小低木、枝の分枝が多数、6−7月に枝先に穂状花序をつけます。11−1月に赤または黄色、美しく、見た目にも華やかな実をつけます。赤い実が珊瑚のように見立て、クササンゴ(草珊瑚)と呼ばれる事も有ります。千両の実は、金運や幸運を呼び込むとされ、お祝いの贈り物や新年の飾りとして人気があります。
5. 万両(Ardisia crenata,朱砂根)は十両、百両と同じサクラソウ科Primuraceaeヤブコウジ属の常緑小低木です。最も縁起が良いとされる植物で、百両、千両より沢山実が付くことから、マンリョウの名前が付いたと云われます。実がたくさんつくことから、富や繁栄を象徴しています。特に新年の祝い事や、商売繁盛を願う際に用いられます。
これらの植物は、見た目の美しさだけでなく、縁起を担ぐ意味合いからも大切にされています。特に「千両、万両、あり通し(一両)」を揃うことは大事です(1年通して、お金があるように)。日本の文化において、植物は自然とのつながりを感じさせる重要な要素でもあります。
十両、百両、万両は同じサクラソウ科ヤブコウジ属の植物です。識別点は以下のようです:

1)十両はもっとも矮小で、草丈は20cm前後、2−5個の花または赤い果実が数枚の葉の下にぶら下げます。葉は枝先に3−4枚輪生して、縁辺が細かい鋸歯があります。 
2) 百両、樹高は20−100cmになり、分枝があります。葉は狭卵形、表面に光沢があり、縁辺には不明瞭で低い波状の鋸歯があります。葉腋に10個ぐらい花または赤い果実が下向きにつけます。 
3) 万両、葉身は長楕円形、革質で縁辺に明瞭な波状の鋸歯があります。百両より枝分かれが少ない(1本立ち)、もっと多数の赤い果実が葉の下に幹を囲むようにつけます(写真参照)。熱海市周辺の照葉樹林の下にこの三種の自生する集団をよく見られます。万両は庭木としてよく栽培されているので、人家近辺の林道や雑木林に逸出(いっしゅつ)することもあり得ます。